帰り道

帰り道

 

蒸し暑い風は煙草工場から
日暮れの帰り道をアンニュイに仕立てた

自転車を降りて水たまりを跨ぐ
警報機が鳴るよりも前に立ち止まっている

 

深呼吸は 深いため息
遮断機の前の呼吸音

 

煙草工場跡はひと気を失って
また違う帰り道を指し示して消えた

自動車を止めて水たまりを踏む
必ず引っかかる踏切を眺めている

 

深呼吸は 深いため息
遮断機の前の呼吸音

 

どこからどこへ行き
どこで何をやろうとも
ここから歩き出す
帰り道

 

乾いた風に確かに匂った
変わらぬ帰り道を幾度と振り返っている

足もとを確かめて水たまりを覗く
貨物列車のコンテナを哀れみはしない

 

深呼吸は 深いため息
遮断機の前の呼吸音

 

どこからどこへ行き
どこで何をやろうとも
ここから歩き出す
帰り道

 

どこからどこへ行き
どこで何をやろうとも
ここから歩き出す
帰り道

 

 

 

詞 青琴野カズ

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