浮草とゆく

浮草とゆく

 

水路に浮かぶ浮草どもが
黒いゴム長に纏わりつく

足下の世界を眺めるのが好きだった
いつからだろう空ばかり見上げた

 

青空に浮かぶ淡い想いは
白い雲と似て変わっては消える

 

海を知りにゆくか
空に置かれるか
縺れ合い枯れゆくか
形にならず溶けるか

ならば迷わず浮草とゆく
初めに姿重ねた浮草とゆく

 

 

堰を切ればただ流れゆくもの
黒いゴム長にへばりつくもの

夢とも呼べぬ儚い想いは
ただ消えゆくことの怖さで続く

 

触れられぬものに馳せる思いと
白い手の中のつまらぬものと

 

何を残しゆくか
戸籍の一行か
濁流に飲まれゆくか
美しく忘れられるか

ならば迷わず浮草とゆく
初めに姿重ねた浮草とゆく

 

ならば迷いなく浮草とゆく
強く思い重ねた浮草とゆく

 

 

 

詞 青琴野カズ

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